海外では、クリストファーさん編纂のシルマリルの設定よりも、The History of Middle-Earthの設定を採用している人が多いらしいです。その12巻、The Peoples of Middle-EarthのThe Shibboleth of Fëanorによれば、オロドレスはフィナルフィンの三男アングロドの息子であり(シルマリルではオロドレスはフィナルフィンの次男)、最後の上級王ギル=ガラドはそのオロドレスの息子なのです。つまりオロドレスとギル=ガラドは編纂版シルマリルよりも世代が一つ下る。
より後期の設定であるという意味で、こちらの設定を採用した方が本来は正しいのかもしれませんがでもその場合、The Peoples of Middle-Earthにある最新の設定だとケレブリンボールはノルドではなくテレリなんですよね。つまり、ギル=ガラドがオロドレスの息子の設定とケレブリンボールがクルフィンの息子の設定は両立しないと思います。クリストファーさんがシルマリルでケレブリンボールについては「クルフィンの息子であり、父と袂を分かちナルゴスロンドに留まった」としたのは指輪物語にてフェアノールの子孫であるとはっきり描かれてしまっている以上そこは動かせないと判断したゆえだと思いますが。クリストファーさんは指輪物語やホビットではっきり描かれた設定と矛盾するものは、たとえ最新の設定であってもシルマリルに取り入れない方向でいったのではないでしょうか。
そう考えていくと私もやはり、ギル=ガラドはオロドレスの息子には出来ないしオロドレスはアングロドの息子にはできないなと思います。勿論読む分にはナルゴスロンドでフィンドゥイラスと姉弟として育つギル=ガラドやケレブリンボールに懐くギル=ガラドも微笑ましくて楽しいのですが、自分ではその設定では描かないだろうなと。
ギル=ガラドにはフェラグンドの息子という設定もあったりしますね。これについてもシルマリルでは採用しなかったようですが。フィンロドは恋人のアマリエと別れ最初の生では生涯独り身、ヴァリノールで復活し再会し結ばれるという方がストーリーとして綺麗ですしね。
私は一応、ギル=ガラドはフィンゴンの息子としています。そして父親がフィンゴンであれオロドレスであれフィンロドであれ、彼はエルフ三種族全ての血を引いている必要があると思うので(そうでなければ最後の上級王として中つ国エルフの支持を集める事はできなかったと思う)、母親はおそらくシンダールだと思います。フィンロドやオロドレスの息子の場合、エアルウェンを通してテレリの血を引いていますけどね。でもやはり中つ国のシンダールとはまた別なような。
オロドレスはナルゴスロンドの二代目の王、ギル=ガラドは中つ国最後の上級王という設定がそれぞれ重要であり、彼らの出自自体にはあまり大きな意味はないのだろうとは思います。それならばより矛盾の少ない設定を採用した方が自然かなと思います。
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