丈高きエレンディル、公正なるエレンディル。エルフの友、星を愛する者、アルノールとゴンドールを統べる上級王。
そんな一見完璧な英雄に見える彼ですが。本当は必ずしも完璧な存在ではなかったのではと考え始めた時、途端に萌えが湧いてきました。完璧な人物よりも何処か駄目なところがある人物が好きなんですよねー。
最初にそう思ったのは多分アカルラベースを読んでいて、アマンディルとの会話を呼んだ時だったと思います。エレンディルの台詞に感情の揺らぎが見えるというか。
元々末期ヌメノール萌えはアル=ファラゾーンから入って、彼と親しかったというアマンディルに興味が、という流れだったんですけどねー。年齢を考えたらエレンディルとファラゾーンの関係性にも興味が湧いてきました。
エレンディルが第二紀3119年生まれ、ファラゾーンが第二紀3118年生まれ。この辺りの年齢設定は謎です。本来はファラゾーンがもっと上の予定だったという可能性も?年齢を素直に受け取ると、アマンディルとファラゾーンは友人というよりは親子のような関係だったのかもしれないと思いました。実の父ギミルカードからは得られなかった愛情をアマンディルに求めていたのかもしれません。
それではアマンディルの子エレンディルがファラゾーンに対して抱く感情はどのようなものであったのか、という。父がファラゾーンにばかり構っていて面白くない、とか思っていても面白いと思います。子供の頃はファラゾーンがアンドゥーニエに遊びに来て、一緒に遊んでいたら可愛いのになと思います。
200歳に近付いたファラゾーンが死に怯え始めたという事は、それより一歳下のエレンディルも同じような状況にあった筈です。でもエレンディルはヌメノールの崩壊を生き延びて中つ国に渡り長い治世を過ごした。割と遅咲きというか第二の人生謳歌している感じかも。享年322歳、在位121年。
「外なる大海から中つ国へ、我は来たれり。我と我が裔、この地に世の末まで留まらん。」
彼がこの言葉を口にした時、そこにあったのは果たしてどのような心情だったのでしょうか。
アンドゥーニエ領主はまだアマンディルだったけれど、エレンディル自身もおそらくヌメノールにて相当な地位にあった筈です。それならば彼にもまた、刺し違えてでも王を止める責務があったのではないでしょうか。いや、実際は絶対に無理だったとは思うけれど、そこを開き直るような人であっては公正で誠実な人物と呼ばれはしないと思うので。
そしてヌメノールと共に沈んだ中にはまだ幼い子供達や、タル=ミーリエルのように仕方なく残らざるを得なかった人々も大勢いたのでしょう。大勢の人々を残して自分達だけ生き延びた時の気持ち。そして当時のヌメノール人の平均寿命を大きく越えて生き続けている時の気持ち。エレンディルの心にはずっと罪の意識があったのではないかなと思っています。
西方に敵意を持つファラゾーンが西へ向かい、エルフの友であったエレンディルが東へ向かったという対称性も好きです。
リンドンに来たエレンディルが雪を見ている光景が思い浮かびます。ヌメノールとは違う気候を噛み締め、誰かを想う。
ギル=ガラドと親しかったのも、同じ気持ちを共有できる相手だからという理由もあったのではないかと思います。多分この世で二人だけ。ファラゾーンに対するエレンディルの複雑な気持ちを吐露できた相手は、同じような立場にあったギル=ガラドだけだったのではないかと思います。
エレンディルは本当は黒髪のような気もしますが映画のヴィジュアルが好きなので、自分で描く場合金髪にしたいです。ファラゾーンは黒髪で想像しているのでそれと対になる感じで。
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