ギル=ガラドとエルロンドの二人は個人的にリンドン主従と呼んでしまうのですが、実際には主従というよりも上司部下というか先輩後輩というか、とにかくもっと可変的で対等な関係っぽいイメージ。
あくまで個人的な妄想なのですが、この二人はどちらも名前に銀のつく人に夢中だよ!というイメージで。第二紀のエルロンドはエレギオンを巡るギル=ガラドの政策に対して、不満に思っていた部分もあるんじゃないかなーと思っています。だって本来上級王の立場ならばリンドンからサウロンを締め出すだけでなく、エレギオンについても命令し言い聞かせる事が出来た筈ですから。でも彼はそうしなかった。その結果力の指輪が作られ、第三紀まで続く指輪戦争の発端となる訳です。ギル=ガラドはケレブリンボールを止められた筈なのに、そうしなかった。それは何故でしょう。政治的判断かもしれないし、惚れた弱みもあったのかもしれない。でもエルロンドとしてはそういう上級王の判断に苛立つ事もあったかもしれないと思っています。エルロンドはフェアノールの息子の上二人に育てられたけれど、その時にはエルロンドはまだ幼く、彼らが罪を犯すに至った背景を詳細に理解していたとは考えにくいのです。そしてケレブリンボールの複雑な立場と、それに対するギル=ガラドの感情も。第二紀のエルロンドは未だ若く、正しい事をただそのままに成せばいいと、そう考えていたのではないかなと思います。いや妄想なのですが。
エルロンドはケレブリンボールとは疎遠かなーと思うのは、指輪物語のエルロンドの会議での名前の出し方がそっけないからでもありますが(でも他の登場人物に対してもそうかも)。マグロールに育てられたエルロンドはその親族であるケレブリンボールに対し微妙な心情を抱いていたのかもしれない。エレギオン包囲戦の時にエルロンドは現地司令官として派遣された訳ですが、内心では「見捨てればいいのに」くらいに思っていたのでは。
でもそんなエルロンドも第三紀になりケレブリアンと結婚し、そして彼女が傷を負い西に渡ることになりかつての上級王の気持ちが理解できるようになったのではないかと考えています。勿論ケレブリアンとケレブリンボールとでは全く状況が異なりますが。愛する者を救えなかったという気持ち。他者から賢者と讃えられようとも、常に最良の選択肢を選べる訳ではないという事実。
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