BoFAのEEを待ちつつ、指輪からはやや離れ気味な昨今ですが。よくも悪くも、色々と落ち着いてきたかなー、と。
久しぶりに『終わざりし物語』を通して読みました。エレボールへの遠征を読んでトーリン愛が炸裂したりパランティアの章を読んで執政職の世襲とペレンドゥアについて考えたりアムロスというエルフの生き様に想いを馳せてみたりとかまあいろいろですが、中でもアルダリオンとエレンディスの物語については少し印象が変わりました。前読んだ時以上に、タル=メネルドゥアが苦労人だなーと。いつまで経っても落ち着こうとしない息子に業を煮やして生前譲位、お疲れ様です。
そしてそのタル=メネルドゥアはアンドゥーニエ領主家の祖である降嫁した王女シルマリエンの弟な訳です。タル=メネルドゥアは姉二人がいる末っ子な訳で、もしも長子相続であれば上の姉シルマリエンが女王となり彼は王位を継がなかった。もしかしたら枝別れたヌメノール王家の方をこうやって否定的に描くのって、テルコンタール朝の正当性を強調するためかなー、と思いました(ケレボルンの格上げにもその意図があった可能性)。で、末期ヌメノールだと、王家の方はインジルベースを通してシルマリエンの血を引いているんですよね。タル=パランティアが肯定描写寄りなのはそのせいかもしれない。
エレンディスの最後もあまりに悲惨です。
アルダリオンとエレンディスの物語の中に、中つ国エルフ最後の上級王ギル=ガラドその人の手紙が出てくるんですよねー。タル=メネルドゥアに宛てた手紙の中で、東側に影が迫りくる中人間との同盟も大事で特にご子息の活躍はとても有意義だから叱らないで欲しいとかそんな感じの事を。
アルダリオンからエレンディスに贈った宝石はもしかしたらケレブリンボール作の可能性も?とか、考えてみたり。けれどタル=メネルドゥアの在位が740~883年なので、ケレブリンボールは750年に創建されたエレギオンに行ってしまってこの頃にはもうリンドンには殆ど戻らなかったのかな。ケレブリンボールの出奔がギル=ガラドに、人間との同盟を強化しようという方向に意識を向かわせた可能性もあるのかもしれません。
この物語の時点で既に、中つ国に落ちた影の存在をギル=ガラドが意識していた頃は結構な衝撃でした。最盛期に至る前の初期ヌメノールですらそうなのかと。1700年のタル=ミナスティアの時代におけるエルダールへの羨望の萌芽はこの時代に既に存在していたのだなと。
それにしてもアンカリメとハルラカールは一見素敵なロマンスが始まりそうな出会いなのに晩年はどうしてああも不仲になってしまったのか。ヌメノール王家の人々はどうもこうも後の第三紀の人々よりもよほど近現代的な人間ドラマを繰り広げていると思いました。
タル=アンカリメとタル=テルペリエンとタル=ヴァニメルデとタル=ミーリエル。ヌメノールの四人の女王を絵に描いてみたいなー、と思いました。
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