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アガートラーム

指輪物語(ホビットの冒険、シルマリルの物語)とその世界、人物についての萌え語りブログです。原作や映画の感想の他、二次創作的妄想な話題を含む予定。

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救われうる悪役と救われえない悪役

何となく思ったことです。




おおよそフィクション作品において、悪役が救済されるにはそれ相応の条件が必要だと思われる。一般的に言えば、救われる・救済される、というのには精神的なものも含まれる。精神的には救済されたが結果死んでしまう悪役は多い。そして、中には精神的に救済され、なおかつ生き延び永らえる事になる悪役も存在する。その場合にはある程度共通した前提条件があるのではないだろうか。
救済され、なおかつ生き延びる事が許された悪役というのは戦闘民族だったり、暗殺者の家系だったり、当人が生まれながらにして殺人やその他の犯罪を犯す事を当然のようにしていた境遇である場合が多い。その設定によって情状酌量の余地が生まれ、異なる環境でやり直せば更生できるかもしれないという期待可能性が生まれるからである。もちろんこれらの条件を備えていてもなおかつ救済されなかった悪役は沢山いる。
一方、物質的だけでなく精神的にも恵まれた境遇に生まれ、にも関わらず悪に走った悪役で救済され、なおかつ生き永らえた人物を寡聞にして知らない。もちろん、私が知らないだけでいる所にはいるのかもしれないが。かなり珍しいのではないだろうか。
『悲しい過去のある悪役』は使い古されているように言われるが、それには一定の整合性があるのだと思う。

キリスト教において悪魔がすなわち堕天使であるという事は興味深い。彼らは元々は善の存在として生まれ、にも関わらず自らが悪の道に堕ちた。そこには、自由意思によって悪に落ちた、それによって彼ら自身が責められて然るべき罪があると見做される考えがあるのではないだろうか。悪魔が元から悪魔であるならば、そこに彼ら自身の責任はないとも考えられるから。
トールキン作品においても主要な悪役であるメルコール、サウロン、サルマンは堕ちたヴァラやマイア、すなわち堕天使だ。オークも元はエルフであったと言われる。作中における悪役が『生まれついての悪』でない点は興味深い。

性善説は厳しい考えだ。生まれつき善であったにも関わらず悪に堕したのは、己自身の行動の結果であるという論だから。元は善だったのに悪になったのならば、救いようがない悪だという。救済されない悪役はこの性善説の考えで断罪される。
一方、性悪説は優しい考えだ。あなたが悪なのは単にそう生まれついたからであって、あなた自身の選択の結果ではないという論だから。元が悪であったのならば、これからいくらでも善に変われる。救済される悪役は性悪説によって免罪される。

STAR WARSにおけるダースベイダー=アナキン・スカイウォーカーは精神的には救済され、しかしその死をもってそれまでの罪を償った悪役だ。彼は奴隷の子として生まれ育ち、優秀なジェダイとして教育を受け、やがて暗黒の道に走った。彼は息子ルークによって許され救済されるがそれでも死ぬしかなかった、というのがポイントだ。
同作品における救済されない悪役の典型である皇帝パルパティーンの詳細な過去は不明だ。少なくとも彼は惑星ナブーや銀河帝国の議員として表向き平穏に働いていた様子は見られる。
ではカイロ・レンは?新共和国の将軍夫婦という恵まれた家庭に生まれ育ち、にも関わらず道に背き虐殺を行った。素直に考えるならば彼はダースベイダーのように改心しスノークを倒して死ぬという最期が考えられるが、ファンの多くは彼に救済され、なおかつ生き永らえる未来を望むようだ。
スノークによって完全に洗脳され、そこに彼自身の意思が介在する余地は一切なかった、というのが彼を免罪する一番簡単な方法だろう。だが劇中の彼の感情豊かな様子を見る限りそれはかなり可能性が低い。ではどうすれば彼が救済される可能性が生まれるだろうか?彼は無辜の村人を殺し、父親を殺した。これを免罪する方法としては彼に「救済される悪役」カテゴリの条件としての『悲惨な生まれ』『悲しい過去』を着けてしまう事だ。ハン・ソロやレイアが親としては失格であり息子がグレても仕方がないという記事も見掛けたが、30歳になる人間がそれを理由に免罪されたとして、果たして観客の多くは納得するのだろうか?ハン自身やレイアが彼を赦したとしても、彼に殺された無辜の人々は?その遺族は?ハンやレイアが親として多少不適格だったとして、殺されても仕方ないという程のレベルだと誰もが納得するのだろうか?例えばハンが新共和国の将軍として、帝国の生き残りを子供まで虐殺していたとでもいうなら可能かもしれない。が、彼が死んだ後にそんな設定を明らかにするかと言うと疑問である。
もう一つの方法としては、カイロレンが死んでしまっては困る・彼に生きていて欲しい誰かを登場させるという方法。分かりやすい方法としては、彼に新しい家族が居ればいい。実は既に妻子がいた設定にするとか。悪役の側にも実は愛する女性がいた、というストーリーは『救済される悪役』のパターンとしてはよくある話である。彼にはどうしてもどうしても守りたいものが他にあり、そのためには親殺しも辞さなかった、と。彼を救うのに納得がいくルートはこれくらいではないだろうか。EP4・5・6の旧三部作及び1・2・3のプリクエルにおいては恋愛関係は一作目に登場したキャラクターの間のみで決まっていたようなので可能性は薄いのかもしれないが。
(とは言え、これはひとえに新制作陣やディズニーがポリティカルコレクトネスとコマーシャリズムの兼ね合いをどの程度勘案するかに委ねられる。カイロレンは人気があるから生かそう!大量殺戮?親殺し?そんなの関係ねえ!人気があるからヒロインとくっつけて次世代主人公の父親にしよう!と制作側が判断してしまうならばそれまでの事だ。カイロレンに殺された多くの人々は、カイロレンという人気キャラクターのためには犠牲になって当然であったと、本当にSTAR WARSファンの多くが考えているのならば。)
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